何回か松任谷由実の曲について駄文を綴っておりますが、
曲のメロディはもちろんのこと、その歌詞のおもしろさには
引き込まれるものがあります。
今回は"静かなまぼろし"という曲についてダラダラと書きます。
個人的な解釈ですので、どうぞ流し読みを。
1978年に発売された「流線形'80」に収録されているこの曲。
この時期は"埠頭を渡る風"に代表されるように、
結構ハデなオーケストレーションを用いた編曲がされています。
この"静かなまぼろし"についても、なかなかハデな感じですが、
ピアノとのからみやらラストの盛り上がりやらで、功を奏しているなぁと感じる曲ですね。
AORサウンドへ入る一歩手前でしょうか。
ちなみに、子供のときに"入江の午後3時"のシングルを買ったら、
この曲がB面になっていて、「順番逆ちゃうのん!?」と意外に思ったことがあります。
それほどに良い曲。
ユーミンの歌詞には「その場面が想像できる」という、
やたらにキャッチーで共感を覚えるような"名歌詞"がいくつかありますが、
個人的に、この「静かなまぼろし」はお気に入りなのです。
"静かなまぼろし"
通りのドアが開き 雑踏が迷い込む
そのときまぼろしを見てる気がした
小走りのシルエット ガラスを押して
あなたが店に入ってきた
もしも微笑み この席で向き合えば
時は戻ってしまうの遠い日に
全てを分かち合い 歩いた二人が
今では柱越し別のテーブル
誰かとメニュウを選ぶささやき
ふりむく勇気がなかった
会わない日々を云いつくす言葉など
もういらないの気づかずいて欲しい
昔の恋をなつかしく思うのは
今の自分が幸せだからこそ
もう 忘れて
カフェかレストランに居るときに、昔付き合っていた人が、
偶然に店に入ってきたときの心情を歌っているのですが、
その場面が目に浮かぶようでおもしろいですね。
通りのドアが開き 雑踏が迷い込む
そのときまぼろしを見てる気がした
小走りのシルエット ガラスを押して
あなたが店に入ってきた
お店のドアが開き、何人かの客と一緒に"あなた"がご入店。
小走りでご入店ってことなので、
"あなた"は、このお店で誰かと待ち合わせをしてたのでしょうか。
偶然にも思いがけない人が店に入ってきてビックリです。
もしも微笑み この席で向き合えば
時は戻ってしまうの遠い日に
もしも微笑んで顔を合わせたら、"遠い日"に戻ってしまうのでしょうか。
「戻ってしまうの?」という葛藤や困惑に聞こえますね。
全てを分かち合い 歩いた二人が
今では柱越し別のテーブル
誰かとメニュウを選ぶささやき
ふりむく勇気がなかった
"すべてを分かち合った二人"ということで、
もう分かってることですが、昔の恋人であったことが分かります。
しかも柱を挟んだすぐそこのテーブルに座ったんですね。
誰かと楽しそうにメニューを選ぶ声が聞こえてきますが
さすがに振り向く勇気はありません。
できることなら振り向きたかった、んだと思います。
会わない日々を云いつくす言葉など
もういらないの気づかずいて欲しい
このシチュエーションでなければ、
"会わない日々を言いつくす言葉"を望んだのかもしれませんが、
そんな言葉なんて"もういらない"のです。
ただ気づかずいて欲しい!…気まずいねん。
昔の恋をなつかしく思うのは
今の自分が幸せだからこそ
もう 忘れて
この曲のすべてはここの部分にあると言っても過言ではないはず!
「昔の恋をなつかしく思うのは 今の自分が幸せだからこそ」
このフレーズに、すべてが凝縮されているような気がします。
ここは「時は戻ってしまうの遠い日に」という部分への返事と思っています。
そんなことはないんだ、と。
昔のことを懐かしむのは、今の自分が幸せなんだから、なんだよ。
「もう忘れて」と。
この状況に動揺している自分への一言なんじゃないかなぁと思います。
直接的な言葉ですが、ミステリー小説のオチのように「ドーン」とくる破壊力。
序盤の歌詞の"まぼろしを見てる気がした"というのは、
この「待ち合わせ」の一連の場面に懐かしさを覚えたからなのかもしれませんね。
「あぁ、昔私ともこんな風に待ち合わせしたなぁ。いつもこの人遅刻してたなぁ。」という感じで。
(↑深読み)
なんだかそう考えると、少しさびしくもある歌ですね。
結構哀愁のある歌をサラっとメジャーキーで歌ってしまうことも多いユーミンですが、
この曲に関しては、叙情的な雰囲気がたまりません。
メロディと正隆氏の編曲と相まって、ラストはかなりの盛り上がりで終わります。
初期松任谷由実の名曲ですね。
ユーミンの「別れた恋人との再会シリーズ」としては、
荒井由実時代の"Good Luck and Good Bye"や、
会うならという仮定を歌った"よそゆき顔で"や"昔の彼に会うのなら"などなど、
まだまだいろいろとありますが、その辺はまた別のお話。
こんにちはー。お久しぶりです。
ユーミンはわたしは一回り上(今52?)の姉がレコードを借りてきては、今じゃ信じられないほどでっかいアンプのオーディオのスピーカーから流れてきていたのを聞いていたのを思い出します。。てことで、ちゃんとアルバムを持っていたわけじゃなかったんで、これどんな曲だっけ?とyoutubeみたらリンク貼って頂いた分は削除されていまして(涙
(JASRACさんは色々とw日本に音楽が普及しない方向にがんばってますねぇ)
他の物をぐぐっていましたら、、こんな素敵な動画を発見しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Qx51GJ6u82Q
ジュリーもすてきぃぃ!ユーミンもまだめっちゃ若くて薄化粧でびっくり!こんな豪華な組み合わせを普通にテレビで見れていたんですねえこの時代。いいですねぇ。
わたしも小学校3年の娘が車で聞く用にユーミンのアルバム集めよかな。と思っています。歌詞がちょっと大人だけどね。でもガキのわたしが姉の部屋で聞いていたあんな感じになるのかもしれませんんえ。
お久しぶりです!
昔のスピーカーはすごかったですねー。
ウチの実家にもSANSUIの当時流行のデカイやつがあります(笑)
時代を越えられてるかはわかりませんが、
個人的にはこの時期のユーミンは不変の良さがありますね~。
あ、貼り付けた動画もう消されてましたか!?
Youtubeもイタチごっこみたいになってて、なんか残念ですね。
この動画、記事に貼り付ける動画を探してるときに見ました!
なかなかレア映像ですよね(笑)
ジュリー、まだこのときは細くてシュっとしてますね…
この曲はもともとジュリーへの提供曲だったみたいなんですけど、
どうも歌詞の内容が女性向きすぎる気もしますね…。
めっちゃステキじゃないですか!
ぜひ荒井由実から攻めていってください(笑)
私は、一番好きな歌が、静かなまぼろしです。
今もユーミンが、コンサートで歌う時、感動します。
ひとつ、お聞きしたいのは、最後の、もう忘れて~は、自分に言ってるのでしょうか?
それとも、昔の彼、振り向いたらいる彼に?
コメントありがとうございます。
本当にいい歌ですよね。
あくまで個人的な考えになってしまいますが、
懐かしさ(未練も?)もあって振り向きたい自分に、
なんか言い聞かせてるような感じかなぁと・・・。
そういう風に聞くと、
少し切ない感じがしますね~。
偶然こちら発見しました。
50歳代でユーミン全盛期が青春時代と重なっていました。
静かなまぼろし
小説的な詩、徐々に盛り上がる音楽も大好きです。ユーミンには、昔の彼氏、今の(別れそうな)彼氏の歌、多いですよね。どても抜群な女心、それも結構前向きな気持ちを歌っていて好きです。
またユーミンの歌の感想を続けてください。
失礼しました。
50歳代のオヤジから
コメントありがとうございます!
そうなんですよね!心離れそうな、離れてしまった状況でも、明るく歌ってしまうものが多くて良いんですよね!
他にも色々と書きたい曲もあるんですが、このご時世、著〇権などの都合もあり詩の引用も難しかったりするので、なかなか書ける状況にもないんです。
まだまだ素敵な歌たくさんあるので、紹介していきたいんですけどね・・・